シックハウス症候群(シックハウスしょうこうぐん)は、建築用語・または症候のひとつです。新築の住居などで起こる、倦怠感・めまい・頭痛・湿疹・のどの痛み・呼吸器疾患などの症状があらわれる体調不良の呼び名。
これらの問題は、生活の基礎となる住宅が原因であるため、家という大きな買い物をした人にとっては深刻な問題となりやすい。特に原因が判らない時代には、自宅療養して問題が更に大きくなるケースも見られたとされなす。
この症状を含む症候では、家屋など建物の建設や家具製造の際に利用される接着剤や塗料などに含まれる有機溶剤や、木材を昆虫やシロアリといった生物からの食害から守る防腐剤、またはそれに類する以下のような揮発性有機化合物 (Volatile Organic Compounds, VOC) に影響されているものと考えられています。
■ホルムアルデヒド
■アセトアルデヒド
■トルエン
■キシレン
■エチルベンゼン
■スチレン
またシロアリ等の害虫駆除などによる殺虫剤の影響である場合も報告されている。
これらは近年の住宅が特に、冷暖房効率を向上させるため、気密性に優れている事から換気が不十分で悪化しやすいとされ、また昭和30年前後から始まった高度経済成長期の住宅建材の大量需要に併せて木目を紙に印刷して木材のように見せるプリント合板に代表される新建材等が盛んに現代建築に用いられ、これらが既に欠く事が出来ない要素あるために、1990年代より問題視されるようになってきました。
1980年代には、既にこれに該当すると思われる症例も報告されていたが、この頃には原因不明とされ、自宅療養などで更に症状が悪化するなどのケースもあった模様である。また同種の問題が新築のビルやマンション、また病院などでも起きていたケースもあり、1990年代になって原因がはっきりしてくると、次第に社会問題となっていった。
これは化学物質過敏症の一種とされ、原因物質を生活環境から減らすために、充分な換気や居住環境の改善が望まれる。また特に近年では、これら原因物質を含まない建材や接着剤・塗料も開発・発売されており、建築業界でも積極的にこれらの製品を取り入れる動きもある。
※ホルムアルデヒド は有機化合物のうち、最も簡単なアルデヒドのひとつ。分子式は CH2O。酸化メチレンとも呼ばれ、IUPAC命名法では メタナール (methanal) と表される。CAS登録番号は[50-00-0]。
ホルムアルデヒドの 製法・性質
触媒存在下にメタノールを空気酸化して得られる。さらに酸化が進むとギ酸となる。融点 92 ℃、沸点 19.3 ℃、分子量 30.03である。刺激臭を持つ無色の気体である。
水などの極性溶媒に可溶で、37% 以上の水溶液はホルマリンと呼ばれる。ホルムアルデヒド及びホルマリンを含むホルムアルデヒド水溶液は、毒物及び劇物取締法により医薬用外劇物に指定されている。簡単に重合し、無水のものはトリオキサン (CH2O)3、水溶液からはパラホルムアルデヒド HO(CH2O)nH を生ずる。
フェノール樹脂、尿素樹脂などの原料としても広く用いられる。
ホルマリンの2004年度日本国内生産量は1,174,602トン、工業消費量は483,476トンである。
人体へは、粘膜への刺激性を中心とした急性毒性があり、蒸気は呼吸器系、目、のどなどの炎症を引き起こす。皮膚や目などが水溶液に接触した場合は、激しい刺激を受け、炎症を生ずる。
接着剤、塗料、防腐剤などの成分であり、安価なため建材に広く用いられている。しかし、建材から空気中に放出されることがあり、その場合は低濃度でも人体に悪影響を及ぼす、いわゆる「シックハウス症候群」の原因物質のうちの一つとして知られる。現在、建築基準法によりホルムアルデヒドを放散する建材の使用制限が設けられている。建材には、F☆からF☆☆☆☆までの放散量によるランクがあり、F☆☆☆☆がもっとも放散量が少ない。
WHOや厚生労働省により 0.08 ppm の指針値が設けられている。現在のところ、性能規定や指針値を超えた場合の罰則等はない。
ホルムアルデヒドはWHOの下部機関である国際がん研究機関によりグループ1の化学物質に指定され、発癌性があると警告されている。
※アセトアルデヒドはアルデヒドの1つ。示性式は CH3CHO、IUPAC命名法では エタナール (ethanal) とも表される。CAS登録番号は[75-07-0]、融点は 123 ℃、沸点は 20.2 ℃。エタノールを酸化して得られる。これがさらに酸化されると酢酸となる。引火性が非常に強く、消防法では危険物乙種4類特殊引火物に指定されている。アセトアルデヒドにはケト-エノール互変異性があり、ビニルアルコールと平衡状態にあるが、安定性の面からほとんどがケト(アルデヒド)型となっている。
2分子のアセトアルデヒドは、触媒の作用によりカルボン酸とアルコールとに不均化しながら脱水縮合して酢酸エチルとなる。この方法は酢酸エチルの工業的合成法のひとつになっている。
※トルエンは芳香族炭化水素に属する有機化合物の一つである。ベンゼンの水素原子の一つをメチル基で置換した構造を持つ。メチルベンゼン、フェニルメタンと呼ばれることがある。無色透明の液体で、水には極めて難溶。アルコール類、油類などをよく溶かし、溶媒として広く用いられる。常温で揮発性があり、引火性を有するため、取扱い時には火気に厳重に注意する必要がある。
消防法による危険物(第四類 引火性液体、第一石油類)に指定されており、一定量以上の貯蔵には消防署への届出が必要である。
人体に対しては高濃度の存在下では麻酔作用がある他、毒性が強く、日本では毒劇法により医薬用外劇物に指定されている。
トルエンは通常の芳香族炭化水素と同様に求電子芳香族置換反応の基質となる。メチル基の存在により、ベンゼンの約25倍の反応性を持っている。
トルエンは穏やかなスルホン化によりp-トルエンスルホン酸を生成する。また酸化鉄(III)の存在下、塩素により塩素化反応を起こし、オルト・パラアイソマーのクロロトルエンを生成する。ニトロ化ではオルト・パラアイソマーのニトロトルエンを生成するが、加熱することでジニトロトルエン、最終的には爆発性のトリニトロトルエン(TNT)を生成する。ハロゲン化反応はフリーラジカル条件下で進行する。例えばトルエン中にNBSとAIBNを加え加熱すると、臭化ベンジルが生成する。
トルエンのメチル基も他の反応試剤により酸化反応が進行する。トルエンは酸化により反応中間体であるベンジルカチオンを生じさせ、続く水との反応によりベンジルアルコールを生成することができる。生じたベンジルアルコールはさらに酸化されベンズアルデヒドさらには安息香酸となる。またトルエンは過マンガン酸カリウムにより安息香酸を生成するが、その一方でクロム酸化によりベンズアルデヒドを生成する。
トルエンの触媒的水素化はその芳香族性のため進行しにくいが、高圧の水素添加によりメチルシクロヘキサンを生成する。
※キシレン は分子式 C8H10、分子量 106.17 の芳香族化合物で、ベンゼンの水素のうち2つをメチル基で置換したものである。
3種類の異性体、オルトキシレン(1,2-ジメチルベンゼン)、メタキシレン(1,3-ジメチルベンゼン)、パラキシレン(1,4-ジメチルベンゼン)が存在する。いずれも可燃性で、煤を出して燃える。極性溶媒に難溶、非極性溶媒に可溶。毒劇法により医薬用外劇物に指定されている。日本では製造・使用・廃棄に関して、管理・届け出が必要な化学物質としてPRTR法の第一種-30 にて指定されている。また、シックハウス症候群の原因物質のひとつであるといわれている。
石油中に含まれ、薬剤等の原料として用いられる。医学・生物学分野では、古くから組織の切片標本の作製の際、組織を包埋するパラフィンや、封入剤として用いるカナダバルサムの溶媒として用いられてきたが、人体への毒性のため無害の代替品への切り替えが進みつつある。
工業製品としては異性体混合物を「キシレン」と呼ぶが、キシレンの2004年度日本国内生産量は 5,394,954 t、工業消費量は 3,694,999 t である。パラキシレンの2004年度日本国内生産量は 3,164,499 t、工業消費量は 126,737 t、オルトキシレンの2004年度日本国内生産量は 215,137 t、工業消費量は 68,583 t である。
※エチルベンゼンとは化学式 C6H5C2H5 で表される炭化水素。フェニルエタン (phenylethane)、エチルベンゾール (ethylbenzol) とも呼ばれる。ベンゼン環上の 1つの水素をエチル基で置換した構造を持つ。分子量 106.16、融点 95 ℃、沸点 136 ℃。CAS登録番号は [100-41-4]。常温では無色透明の液体で、水にはほとんどとけない。
コールタール中にも存在し、接触改質の副産物としても生成するが、キシレンの異性体であり、沸点の近接した p-キシレンとの分留には多段の蒸留塔が必要である。それ故今日ではエチルベンゼンの殆どはベンゼンとエチレンと酸触媒担体を利用したフリーデル・クラフツ反応によるアルキル化で製造される。酸触媒としてはルイス酸である塩化アルミニウム (AlCl3)、三フッ化ホウ素 (BF3) 等が利用されたり(液相法)、リン酸 (H3PO4) が担体に保持されたものが利用される(気相法)。
工業的に生産されたエチルベンゼンの殆どは脱水素化されてスチレンとされ、ポリスチレンを始めとした種々の合成樹脂原料として利用される。
※スチレンは化学式 C6H5C2H3、分子量104の芳香族炭化水素である。天然の樹脂である蘇合香(そごうこう、styrax)の成分として発見された。これが慣用名のスチロール styrol やスチレン styrene の由来である。熱あるいは光により容易にラジカル重合するので、メーカーで市販されているものには基本的に重合阻止剤が含まれている。
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